肝臓の病気

肝臓病は静かに進行する病気です。

肝臓は数多くの化学処理をおこなって代謝や解毒を行っています。肝臓病がおこっても痛みは感じないので、早めに機能検査を受けることが大切です。

肝臓は、2500億個もの肝細胞という特殊な細胞が集まっていて、約200種類もの酵素を使って約500種類の複雑で微妙な化学処理を同時進行でおこなっている、驚くべき能力をもっています。

しかも肝臓で、使用する酵素のほとんどを自分で作ってしまうというすばらしい機能があります。

その上、肝臓の4分の3を切り取っても、残りの4分の1が正常であれば元通りに再生するという、人間の身体の中でも驚異的な能力をもっている器官です。

この肝臓に匹敵する機能と能力は、巨大な近代化学工場がいくつ集まっても、とても太刀打ちできるものではありません。肝臓の主な機能は、代謝、解毒、胆汁の合成です。

代謝機能 ブドウ糖をグリコーゲンとして蓄えて必要なときに再びブドウ糖に戻す、アミノ酸からタンパク質や脂質を合成する、血液中の脂質をコントロールする、アミノ酸から酸素を合成する、ビタミンを蓄える、ビリルビンやアルブミンを合成する。

解毒機能 アルコールや薬物などの異物を解毒し、排泄する

胆汁の合成 消化、吸収、不要物の排泄に欠かせない胆汁を、胆汁酸、コレステロールなどから合成する。

肝臓には肝細胞が集まった一つの肝小葉という小さな単位があり、これが基本単位として機能します。

そしてそこには血液を通して門脈からは栄養が、また肝機能からは細胞が排出した老廃物が四六時中送り込まれてきます。

一個の肝細胞には500個〜2500個ものミトコンドリアが存在しますが、この数は他の細胞に比べてはるかに多くなっています。

これは、肝臓が大量の血液を介していかに数多くの化学処理をおこなっているかを示すものです。

つまり肝臓内のミトコンドリアでは、クエン酸サイクルで、エネルギー源のATPを生成し、エネルギーの生産が行われますが、この過程で、各種の活性酸素が生成されます。


C型肝炎は、慢性化しやすく、肝硬変や肝臓がんになる確率が極めて高い疾患で、今検診などで感染が発見される人が増えています。

C型肝炎は、ウイルスに感染して急性肝炎をおこしても、まったく気がつかないケースが多くあります。発生後は、ウイルスが排除されて治癒していくこともありますが、約7割の人は慢性肝炎へと移行していきます。

C型肝炎の場合は、B型肝炎のようにウイルスが自ら増殖をやめることないので、放置をしておくと知らないうちに高確率で肝硬変、肝臓がんへとすすみます。日本の肝臓がんの原因で特に多いのがC型肝炎で、全体の約8割をしめます。

C型肝炎は、B型と比較して血液中のウイルス量が非常に少ないので感染力は弱く、母子による感染や性交渉による感染はまれにしかありません。

現在C型感染に罹っている人は、過去の輸血や血液製剤による感染になります。防止策がとられてからはそのルートでの新たな感染者は激減していますが、まだ問題はあるようです。

最近での感染ルートは、覚せい剤のまわしうち、いれずみ、ピアスの穴開けなどがあって、器具に付着した感染者の血液が別の人の血液に入れることで感染していきます。

医療現場でおこなわれている針刺し事故などもC型肝炎の感染につながっています。


慢性肝炎・B型肝炎について

肝臓の病気の多くのケースでは、ウイルスが原因で発症します。そのウイルスによって、肝臓に炎症が生じ、肝細胞が破壊される病気を総称してウイルス性肝炎といいます。肝炎を引き起こす肝臓ウイルスは、現在、5種類発見されていますが、そのうちB型肝炎の原因となるのがB型肝炎ウイルスです。

B型肝炎ウイルスは、血液が直接体内に入ることによって感染します。日常生活では感染することは、まずありません。過去には、輸血による感染がありましたが、検査体制が整っている現在では、安全だといえます。性行為による感染もありますが、大人は免疫が発達しているため、ウイルスが体内に侵入しても、急性肝炎を起こしてウイルスは取り除かれ、治癒します。ただ、急性肝炎に気づかない人もたくさんいます。

出産時に母親からの母子感染です。免疫機構がうまくできていない赤ちゃんの場合、ウイルスを取り除くことができず、ウイルスがそのまま体内に生息してしまいます。このような状態をキャリアといい、現在いるキャリアの多くは、母子感染によるものです。ただし1985年からは、母親がB型肝炎ウイルスに感染している場合、赤ちゃんにウイルスを接種するようになり、現在新たに感染することはほとんどなくなりました。

ウイルスキャリアの人が10〜30歳代になって免疫の働きが強くなると、ウイルスとの戦いが起こります。これが、急性肝炎です。だるさ、食欲不振、頭痛など、風邪と似たような症状が現れますが、約9割の人は3〜6ヶ月くらいで自然に治まって、その後肝炎を起こすことはほとんどなくなります。

約10パーセントの人は慢性肝炎に移行します。慢性肝炎の経過は人それぞれになります。長期間をかけてゆっくり進行する人もいれば、急に重症化して肝硬変になったり、劇症肝炎をおきてから生命の危険性があります。