感染症

重症急性呼吸器症候群 SARSは、2〜10日の潜伏期ののち、発熱と悪寒、ふるえ、筋肉痛などインフルエンザのような症状ではじまります。

熱は一旦さがるようにみえますが、肺炎へと進行して、再び高熱と咳がでて、呼吸困難になります。

下痢をすることもあります。その後発症者の約8割は軽快しますが、約2割は急速に呼吸困難が進行して集中治療が必要になってきます。

致死率は全体では約1割となりますが、高齢者やなんらかの基礎疾患のある人は高くなってしまいます。

SARSコロナウイルスの感染によっておこります。2002〜2003年に、中国広東省に端を発した世界的流行で、初めて発見された感染症です。

自然界でこのウイルスを保有したり、媒介する動物や昆虫などについては、まだ解明されていません。

自然界からの感染経路は、不明ですが、人から人への感染は主に飛沫感染で、血液や体液による接触感染もあると考えられています。

便による感染や、空気感染の可能性も否定できませんが、その頻度は低いとみられています。

周囲への感染性は、無症状の時期にはなく、肺炎になる前は弱いと考えられますが、十分な警戒が必要となります。

肺炎をおこしている時期の感染力は強く、重症者ほど強いとされています。

SARS 重症急性呼吸器症候群の治療法としては、現在のところ、有効な特別の治療法はなく、対症療法が中心となります。

流行地域に潜在して10日以内にインフルエンザのような症状がでた場合は、保健所や医療機関に前もって連絡し、その指示にしたがって受診することが大切になります。

感染症は、対症療法的な治療となりますが、普段から、自己の免疫力を高める生活をしておくことが予防する上でも大切になります。




MRSA感染症とは、さまざまな抗生物質がきかくなった多剤耐性の黄色ブドウ球菌のことになります。MRSAによる感染症としては肺炎、敗血症、腸炎、髄膜炎、胆管炎などがあります。

MRSA感染症は、主に免疫力が低下している人が感染すると発症します。その症状は、感染した部位によって異なってきます。

肺炎がおこる場合は発熱、咳、たん、呼吸困難などの肺炎症状、腸炎の場合は、発熱、下痢、吐き気、嘔吐などの腸炎症状みられます。

血液中に菌が入る敗血症の場合は、発熱や低体温、頻脈、多呼吸、さらに関節炎、骨髄炎などを合併しやすく、ショックに陥ったり、心不全をおこすこともあります。

MRSA感染症の原因 MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の略称です。大手術をした後や、重病の患者が院内感染をしやすいことで知られる原因菌です。

かつては黄色ブドウ球菌には抗菌薬のペニシリンがおく効いたのですが、しだいにペニシリンに対する耐性のついた菌が多くなり、新たにメチシリンという抗菌薬が開発されました。

しかし間もなくメチシリン耐性の菌が増加しはじめ、現在は分離される黄色ブドウ球菌の約60パーセントがメチシリン耐性と判定をされています。

またMRSAは鼻腔、咽頭、皮膚、腸管などに常在していることがあり、この菌が見つかった場合は、病気の原因になっているかどうかを見極めることが必要となります。

感染経路には、菌が常在している部位からの自己感染、医療従事者の手指や医療器具などを介しての接触感染があります。

MRSA感染症の治療法 菌に有効な抗菌薬で治療するほか、それぞれの症状に応じた対症療法が行われます。


日本脳炎ウイルスは、豚の体内で増殖し、それを刺した蚊を媒介して、人に感染します。

日本では、60年代後半まで猛威をふるっていましたが、70年代以降は激減をしています。患者数は年間10人以下にまで減りました。

日本脳炎は、予防接種が行き渡り、ほとんどの人が免疫を得たこと、水田が減り、媒介となる蚊が減少したこと、養豚場と人の居住地が離れ、ウイルスを持った蚊にさされるケースが少なくなったことなどが、その理由となります。

しかし、予防接種がいきわたっていないアジアの各国ではいまだに多くの患者がでています。

WHOの集計によると、毎年約43000人が日本脳炎を発症し、そのうちの11000人が死亡をしています。患者の85パーセントは15歳以下の子供です。決してあまくみてはいけないウイルスです。

日本脳炎は、感染しても発症しない、不顕性感染症の代表格になります。発症率はウイルス感染者300〜3000人に一人とされ、その多くは感染しても気づくことなくすんでしまうものです。

しかしいったん発症したら、死亡率は20〜50パーセントです。死亡しない場合でも、半数近くは精神障害や運動障害などの重い後遺症が残る怖い感染症です。

日本脳炎の症状は、5〜15日の潜伏期間の後、突然発熱します。40度以上の高熱に苦しみ、頭痛、嘔吐、次いで意識障害、けいれん、筋肉の緊張などがおこり、最悪の場合は死にいたります。

日本人は予防接種をしているから大丈夫と考えがちですが、現在は集団接種ではなく個別接種です。

推奨されている接種のころに、体調不良などで接種をしないこともあります。

感染多発地域に旅行をするときは、予防接種の有無を確認しておくことが大切になります。

髄膜炎は、脳や脊髄を覆っている髄膜に炎症がおこる症状のことをいいます。髄膜炎がおこる原因によって名前が変わっていきます。

髄膜炎は、新生児や乳児に多くみられますが、大人でも発症します。脳や脊髄の表面をおおっている髄膜にウイルス、細菌、真菌などが感染し、急性の炎症が起こります。

無菌性髄膜炎と細菌性髄膜炎に分類されています。ウイルス感染では無菌性髄膜炎と言います。細菌感染では化膿性髄膜炎が発症します。

各種類の髄膜炎に共通している症状には、項部強直といって、首が固く曲げにくくなったり、発熱、頭痛、嘔吐、吐き気などがあります。場合によっては、痙攣をおこしたり、意識障害を起こしたりします。

化膿性髄膜炎ではかぜのような軽い症状からはじまり、やがて全身へ急速に広がり、けいれん、意識障害、項部硬直、高熱、嘔吐、頭痛などおこってきます。

髄膜炎の治療では、原因となっている菌を特定するため、髄液培養を行います。そしてその後に原因に応じた治療を実施します。

化膿性髄膜炎には抗生物質が投与されます。発病する年代によって原因となる細菌の種類がしだに判明されてくるので、はじめは、それに応じた抗生物質が選択され投与されます。

ウイルス性脳炎 単純ヘルペス脳炎に対しては有効な抗ウイルス薬(があります。発病後4日以内で、意識障害が強くない状態で抗ウイルス薬が投与されると、9割以上よくなります。

ただし、回復しても後遺症が残ってしまう可能性があるので早目に専門医での診断を仰ぐようにしましょう。


はしか 麻疹は、伝染力が強く、まだかかっていない場合は95パーセント以上の子供がうつります。潜伏期間は10〜20日間で、発症すると高熱、全身の発疹、せきがでて、合併症がでることもあります。

はしか 麻疹は感染力が非常に強く、重い場合には肺炎や脳炎を併発することもある病気です。 特に乳児や大人では感染すると重篤になりやすいので注意が必要です。

はしか 麻疹の症状 39度前後の発熱、鼻水、せきなどかぜのような症状があらわれ、4日ころから頬の内側の粘膜にコプリック斑といわれる白い斑点ができます。

その後、発疹が耳の後ろ、顔面、全身へと広がっていきます。熱は一時的に下がりますが、再び高熱がでます。

典型的な麻しんの症状、発熱、全身性発疹、咳や鼻水、目の充血などの粘膜症状が揃ったものを指し、潜伏期間は通常約10日間。

発疹があらわれてから4〜5日後に熱が下がりはじめ、発疹が消えていきます。回復期には、発疹が色素沈着をおこして茶色から黒色に見えます。

合併症としては、中耳炎、クループ、肺炎があります。重症化すると脳炎になることあり、特に乳幼児は死亡することもあるこわい病気です。

一度ワクチン接種を受けた人の中から、典型的でない、比較的軽い症状の麻しんが報告されています。

これは、修飾麻疹と言われていて、潜伏期間は通常より長い傾向のようです。麻疹と診断するのが難しい場合があり、対応の遅れから感染拡大につながる可能性があるので注意が必要です。

はしか 麻疹の治療と対処 麻疹にかからないことが一番大切です。早めに風疹ワクチンとの混合であるMRワクチンの予防接種をしましょう。


手足口病は、夏かぜの一つで、腸の中にいるコクサッキーA16ウイルス、エンテロウイルス71によって起こります。

飛沫感染が主ですが、便を通じても感染します。ウイルスの潜伏期間は、3〜6日です。生後6ヶ月から4歳くらいの乳幼児が多くかかります。

手足口病は手と足と口に水疱ができるのが病気の主な症状ですが、はじめ、1〜2日の間に熱が出ることもあります。ただし、熱といっても、38℃の熱が出る子供は全体の30%ぐらいで、半分以上の子供に発熱はありません。

手足口病のウイルスは、もともと、胃腸かぜのウイルスの一種ですので、多少下痢のようになることはありますが、深刻な下痢になることはあまりありません。

感染したとしても、症状がで発症しないまま、免疫がついていることもあります。

名前のとおり、手足と口に米粒の小さな水疱ができます。痛みや痒みはないのですが、口の中の水疱が破れてただれると、ひどく痛がることがあります。

小さな赤ちゃんは、食欲がなくなったり、よだれの量が多くなったりします。

熱はありませんが、あったとしても高くなることはありません。合併症もあまり心配することはないでしょう。手足の水疱は1週間ほどで治っていきます。

水疱が破れると感染を起こして面倒なことになるので、水疱が消失するまで、学校での鉄棒や登り棒は中止しましょう。プールでも同様に細菌感染が起こるので入らないようにします。

手足口病は、自然になおりますが、口の中の水疱の跡を痛がるようなら、口内炎用の塗り薬を塗ることもあります。


おたふくかぜは、ムンプスウイルスと呼ばれるおたふくかぜのウイルスが、おもに唾液を通じて感染します。感染力は弱く、かかっても発症しない子も多くいます。潜伏期間は2〜3週間です。

2歳から小学生の子がかかりやすい年齢ですが、注意をしなければならないのは思春期以降になってからの感染です。

おたふくかぜは、大きくなってから発症すると、重症になりやすく、合併症もおこしやすいのです。男子の場合は睾丸炎、女子の場合は卵巣炎を併発することがあります。

耳の下からあごにかけて腫れがみられます。腫れは片方だけのときもあれば、両側が腫れることもあります。

また、片方が腫れて数日たってから、もう片方がはれることもあります。高熱がでることもありますが、3日ほどで治まります。

おたふくかぜは、熱がでないこともあります。腫れは1週間〜10日ほどでひいていきます。小児では、時に、髄膜炎や脳炎をおこすことがあります。

おたふくかぜウイルスが感染して起こります。唾液腺でウイルスが増加し、飛沫により感染します。症状が出る2日前くらいから感染するといわれています。唾液腺が腫れている間は感染します。

おたふくかぜの治療と対処 口をあけたり、物を食べたりするときに痛むので、やわらかいものを与えてあげるとよいです。

痛みなどを抑える薬を使用することがあります。ウイルスに効果のある薬はありません。4日〜14日で自然に腫れは消えます。顎下腺の腫れは引きにくく、2週間から3週間腫れることもあります。

予防としては、おたふくかぜの予防接種があります。10歳くらいをめどに免疫検査を行います。

そして、まだかかっていないようなら、予防接種を受けることが大切です。


インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルスに感染して発熱した後に、急速に意識障害などの神経症状があらわれます。

インフルエンザ脳症の致命率は約30パーセントといわれ、助かったとしても25パーセントの人が後遺症を残すといわれています。

インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルス感染による神経合併症です。ただ、発病の仕組みはまだはっきりと分かっていません。

特に幼児に多い傾向があり、急な高熱から意識障害、全身のけいれんが起き、進行が速く、死亡率が高い病気です。

助かってもインフルエンザの脳症の後遺症として、脳性まひなどが残りやすいとされています。現在のところ治療法は対症療法での対処となります。 

絶対といわれるような予防法はないですが、インフルエンザワクチンを接種することによって、症状が軽くすみ、結果としてインフルエンザ脳症にはならないことがあります。

ノイラミニダーゼ阻害薬である昨年2007年問題になったタミフルは、インフルエンザの特効薬とされていましたが、タミフルを飲めばインフルエンザにならないと言う確証はないので過信は禁物です。

インフルエンザ脳症の治療はまだ、明確に確立されていませんが、早期にけいれんをストップさせるなどの処置は重要とされています。

子供が発熱し、いつもと違うと感じる痙攣などの症状がみられたら、すぐに専門医を受診することが大切になります。



風疹は、代表的なウイルス性感染症の一つで、3〜9年ごとに流行がみられます。風疹の潜伏期間は14〜21日ほどです。風疹は、たいがい3日ほどで治ることが多いので、三日はしかと呼ばれます。

風疹の主な症状として、発疹、発熱、耳の後ろや首のリンパ腺が腫れる、とった症状があります。

発疹は淡いピンク色でかゆみがあります。風疹の発疹は三日ほどで薄くなり、色素沈着することもありません。

風疹は大概、軽症で終わることが多いですが、まれに髄膜炎、血小板減少性紫斑病、関節炎を併発することもあります。

風疹は、風疹のウイルスの飛沫感染で発症します。発年齢は5〜15歳ですが、成人になってからかかることもあります。

3〜10年の間隔ではやり、春から夏にかけよくみられます。一度自然にかかれば一生免疫が続くといわれます。

風疹の治療法では、予防接種をしておくことが一番です。現在推奨されているのが、麻疹ワクチンとの混合であるMRワクチンです。

風疹ウイルスに効果のある薬はありません。風疹は、対症療法になります。予防には風疹生ワクチンを使い、予防接種法の定期接種として1歳以降に接種を受けます。

風疹の予防接種は、当事者である子供が風疹にならないようにするというよりも、周りに風疹が流り妊婦に感染することを防ぐという意味が強いようです。

妊婦さんが風疹にかかってしまうと、生まれてくる赤ちゃんが胎内で、先天性風疹症候群にかかり、白内障、難聴、先天性心疾患をもつことがあります。



インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染で起こる病気ですが例年12月頃から2月ごろにかけて流行してきます。ウイルスの伝染力が非常に強くその速度も非常に速いので、幼稚園、小学校、中学校で学級閉鎖や学校閉鎖をおこすなど大流行おこします。感染力が強くせきやくしゃみ、鼻水によって飛沫感染します。インフルエンザは、A型、B型、C型がありますが、A型とB型が人に感染するウイルスです。

インフルエンザでは、その潜伏期は1〜2日と比較的短く、症状としては、悪寒、発熱が急激に起こります。児童では、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛、腹痛などのいわゆる全身症状を訴えます。乳児では、熱性の痙攣から始まることもしばしばあります。

高熱を発する時期が2〜5日間つづき、そしてせきやのどの痛みも出てきます。だいたい1週間くらいで、解熱とともに症状は落ちついてきますが、体力が低下して全身のいろいろな合併症を起こしやすいので、十分な注意が必要です。のどや鼻のぬぐい液を用いてインフルエンザ感染を約20分程度で診断できる検査が医療機関で用いられています。

インフルエンザになると、肺炎、中耳炎、脳症、心筋炎、筋炎などがあります。インフルエンザ脳症は、厚生労働省の調査によると1999年217人、2000年109人、2001年55人が報告されています。年齢は5歳以下が70〜80%であり、特に2歳以下が40〜47%と多く、重症です。

脳症にかかると26%が後遺症をおこしてしまい、そのうちは3割は、死亡するといわれます。痙攣、不機嫌、涕泣、悪心、嘔吐などとともに、発熱後約1日で意識障害や神経症状が急激に出現します。痙攣、ぐったりしたり、わけのわからないことを言いだしたりしたら、すぐに医療機関への受診が必要になります。

合併症がおきると病院での静養が必要になります。発熱がつづいているときは、安静にし頭を冷たいタオルで冷やすことが大切になります。室内のの温度は暑からその人にとって適温とし、加湿器などを使って適度な湿度をたもつようにします。喉の乾燥を防ぐことが大切です。水分を多めにとり、栄養はバランスよくとることです。